[執務官のとある休日

どうしてこうなったのか。クロノは自問する。現状はわかるがそれに至までの過程がどうにも理解が出来ない。現場で状況にあわせ、臨機応変な判断が求められる執務官としては頂けない。
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いや、この際過程の事は無視するとする。問題は現状だ。今、現状において自分のすべき事はなんだ。いや、別に窮地に追い込まれたわけでもないので深刻に考える必要も無いのだが、どうにもすっきりしないと言うか居心地が悪いと言うか。いや決して悪いわけではない。強いて言うなら場違いだ。狼形態のアルフとザフィーラの間にフェレット形態のユーノが割り込むくらいに。
そんな割と捻じ曲がった思考に浸かるクロノの横に熱い緑茶が注がれた湯飲みが置かれる。
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「ま、お茶でも」

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そう言ってお茶を持ってきた人物はクロノの隣に座る。

「ありがとうございます」

礼を言いお茶をすする。旨い。何故、母はこの茶に砂糖とミルクを混ぜるのか。いまさらながら疑問に思う。
さて、もう一度思う。どうしてこうなったのか。とりあえず現状を確認しよう。
自分は時空管理局執務官クロノ・ハラオウン。今年で十五歳。今日は休日で今いる場所は海鳴市の高町家。そして先ほどお茶を持ってきて隣で座っているのは同じ管理局に勤める高町なのはの父、高町士郎氏。現状確認終了。うむ、割と前後が繋がっていない。
どうしてこうなったのか。それは数時間前に遡る────────。

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クロノ執務官は多忙である。デスクワークに基礎訓練、各種手続きの取次ぎに現場指揮。調査のために無限書庫の司書となったユーノに探してもらう資料の選別。なのはへ管理局関連の連絡の伝達や義妹となったフェイトの執務官試験の指導、管理局入りはしたが未だ周りからの不信がぬぐいきれない夜天の王、八神はやてと守護騎士ヴォルケンリッター達の弁護のための根回し等、実に多忙極まる。
しかし、そんな彼にも休日はある。彼自身は別に取らなくても大丈夫と思っているが、ミッドチルダにも一応就業規則というものがあるし勃起促進

、何より家族やスタッフが許さなかった。
そんな訳で、その日は世間一般では平日、しかしクロノには休日と言う日だった。
休日でもいつも通りの時間きっちり起きたクロノはフェイトの作った朝食を家族一緒に食べ、仕事に向かうリンディ、学校に向かうフェイト、天気がよければいつでも出かけるアルフを送り出した。
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それから特に予定も立てていなかったクロノはデバイスの整備、自宅でも出来る細かい仕事、提督試験のための勉強など身内から他にやることはないのか、言われそうなというか言われている事ばかりして持て余し気味の休日の午前を終えた。
そうして時計の針が一時を刺そうかという時間に、当然の生理現象として胃が空腹を訴えた。
そこでクロノは問題に直面した。

「昼食、どうしよう」滋養強壮


腹が減ってからようやくその事に気づいた自分に呆れる。家には自分一人しかいないのだ。勝手に食事が出て来たらそれは怪奇現象だ。
クロノとて多少の料理は出来る。士官学校時代のサバイバル教習で食材を無駄にしない程度の調理は覚えた。
しかし、それはエイミィやフェイトが作るような家庭料理とはほど遠い。花見の時に作った焼きそばとて、それは同じことだ。あえて、自分から作ろうとも思えない。女性の不感症
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何より、一番のネックは下手に食材に手を出すと、料理番達から非難される事だ。以前、昼食を自分で作ったら、よく家に来て飯を作りに来る友人で部下である料理番が夕食で使う予定だった食材を使ってしまい、ネチネチと文句を言われた。自分の家の事なのに理不尽だと思った。早漏防止
また、その料理番の意向でハラオウン家にはインスタントの類は存在していない。
残り物がないかと冷蔵庫を開ける。まるで無し。そもそもハラオウン家には大飯食らいの使い魔がいる。残り物が出る時は、彼女が夕食の席にいない時のみだ。
どうやら家で昼食を取るのは得策ではないようだ。おかしな話ではあるが自分の調理に対する不精や料理番の事を考えるとそうなってしまった。世界はおかしな事ばっかりだ。
そうなると、選択肢は外で取ることになるが、元々こちらでの活動が少ないクロノである。界隈に詳しいわけも無く飲食店の心当たりも無い。
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それでも、まあ外に出れば飲食店の一つや二つあるだろう。最悪、コンビニで弁当でも買えばいい。
そう思って出かける準備をしようと先ほどまで自室で使っていたマグカップを流しにまで持っていく。
そこで、クロノはふと思い出す。そう言えば、母さんがアースラのコーヒーを切らしたと言っていたな。
リンディが飲んでいるコーヒーはなのはの両親が経営する翠屋の特性ブレンドだ。以前、プレゼントされて以来ずっと愛好している。素材の味を殺し尽す量の砂糖を入れての話だが。
そこでクロノは今まで翠屋に訪れた事がない事に気が付いた。なのはの両親である桃子と士郎とは面識はあるがそれは管理局の話をした時や花見の席での事である。

「この機会に行ってみるか」
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翠屋は喫茶店だ。コーヒーを買いがてら一緒に昼食を取れる。一石二鳥という奴だ。
クロノはマグカップを水につけると、財布をポケットにねじ込み、ガスと戸締りを確認して家を後にした。


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現場の地形把握は指揮をする者にとって必須スキルだ。初めて訪れる現場でも迅速に動けるよう地形を頭に叩き込んでおかなくてはならない。
PT事件や闇の書事件の時にこの町の地形を頭に入れていたクロノは迷う事無く、翠屋に辿り着いた。昼のピークは過ぎたようで客の姿はそれほどなかった。
ドアにつけられた来客を知らせるベルの音を聞きながら、店内に入る。レジにいた店員がこちらに振り返りクロノを出迎える。
「いらっしゃいませ~、ってあらクロノ君?」
レジにいたのは桃子だった。数えるほどしか顔を合わせていないにも関わらず自分の顔を覚えている事に感心しつつ、クロノは挨拶した。
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「こんにちは、桃子さん」
「今日はどうしたの?なのはならまだ学校だけど」
「いえ、今日は客として来ました」
「まっ、嬉しいな~。それじゃ立ち話もなんだから座って座って」

桃子に案内された席はカウンター席だ。自然と桃子と向き合う形になる。

「メニューはそこだから。好きなの選んでね~」

メニューに目を通す。それなりに腹は減っているがそれほど食べるほうでもない。サンドイッチか何かで済まそうと思ったクロノの前にまだ注文もしていないのにカップが置かれた。顔を上げるとニコニコ顔の桃子がいた。
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「桃子さん?あの、まだ注文していないのですが……」
「気にしないで。いつもなのはがお世話になってるお礼と初来店のサービスってことで」
「そんな、悪いです」
「いいからいいから。子供は素直に大人に甘えておくっ」

子供を諭すような口調で言われてクロノは呆気に取られ、それからぎこちない動作で差し出されたミルクティーを口に運んだ。その様を桃子は微笑ましそうに眺める。何故だか照れくさかった。

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クロノがサンドイッチとサラダのセットを注文し、フェイトから聞いた以上の味に満足し、食後のお茶を飲んでいる折、桃子が思い出したように呟く。
「そういえば、クロノ君が来てくれたから管理局の人は皆来てくれたことになるわね」
「そうなんですか?」
「うん。リンディさんはお休みに来てくれるし、フェイトちゃんやはやてちゃんも学校帰りになのはと一緒に寄ってくれたりするし、はやてちゃんに付き合ってヴィータちゃんとかシャマルさんも来てくれるし。シグナムさんも一緒に来るけど時々一人でも来てくれるし」
「シグナムが?」

三體牛鞭さらっと予想外の人物の名前が出てきて、思わず聞き返す。

「ちなみに彼女は何を注文するんですか?」
「ん~、和物が好きみたいだけどウチは洋菓子屋だから。代用ってことで抹茶パフェとか」

常に毅然とし、堅物とも言えるシグナムが一人、パフェを突いている姿を想像し、クロノは思わず顔を逸らした。彼女には悪いが、普段のイメージから激しくかけ離れていた。

「あ~、あとお花見の席で一緒になったリンディさんの同僚の方………そうそう、レティさんもこの間リンディさんと来てくれたわね」

今度は椅子からずり落ちそうになる。わざわざこっちにお茶を飲みに来ていたのかあの人は。
類は友を呼ぶというか、レティも嗜好が割とリンディに近い。翠屋の味は彼女を十分に満足させていたことだろう。
クロノの脳内に、翠屋で奥様会議が開かれる。『聞いてくださって奥様』『あらあら、本当に?』『そうなのよ、うちの子ったらもう』『大変ねぇ、奥様』と何故か口調の変わった母の姿が浮かぶ。願わくば、その会議の話題に自分の名が上がっていないよう、クロノは祈った。
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そこで時計を確認すると、時刻は三時を回ろうとしていた。翠屋についたのが一時半を過ぎた頃だったから、一時間以上経っている。クロノにしてみればそれほど時間が経っているようには思っていなかった。

「それじゃそろそろお暇します」
「あ、クロノ君」

代金を支払い、立ち去ろうとするクロノに桃子が声をかける。

「なんでしょうか?」
「今日、お夕飯どうするの?家の人、いないんでしょ?」

言われて気づく。昼食と同じ問題だと言うのにその事に全く気がまわっていなかった。

「そう言えば、今日はフェイトがそちらにお邪魔する日でしたね」
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フェイトには『お呼ばれの日』と言われる高町家の夕食に招待される日がある。高町家の都合とフェイトの都合があった時に招待されるため、行われる日の規則性がない。そしてその日をフェイトはいつも楽しみにしており、朝食の時に今日がその日である事を話していた。それとクロノの食事の心配もしていたが適当に答えて納得させたというのに呆れたものである。
そういうわけで、夕食にも頼みの料理番がいない。どうしたものかと考えるが状況は昼食の時とほぼ同じなのだ。なので答えもすぐに出た。

「なんとかします。帰りにでも何か買って食べればいいですし」
「あ、駄目よ~。育ち盛りが外食に頼っちゃあ」

またも子供を諭すような口調に、何故か逆らいがたい物を感じる。適当に答えて、切り抜ければいいのにそれが出来なかった。

「あ、そうだ。クロノ君この後用事ってある?」
「いえ、特には」
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帰ったらクレーニングでもしようかと言うくらいだ。夜には明日の準備をしなくてはならないが、それほど時間のかかる事でも無い。

「そう、それじゃあ」

桃子の言葉を遮るように来客のベルが鳴る。そちらを振り向けば、翠屋のエプロンを着た男性の姿があった。

「買出し、終わったぞ」
「あ、あなた。お帰り~」

現れたのは、なのはの父で桃子の夫である高町士郎だった。言葉の示す通り両手に紙袋を抱えている。

「おや、クロノ君」
「どうも、こんにちは」

クロノの姿を見つけた士郎に軽く会釈する。士郎も会釈を返そうとするが荷物を抱えているため、首を軽く下げてのみに留まった。

「あなた。今日はもうお店のほうはいいから頼みごとがあるんだけど」
「ん、なんだ?」立挺90度

「夕食まで家でクロノ君の相手して欲しいの」

きょとんと、会話の意味がわからずクロノは固まった。

「今日、クロノ君の家の人誰もいないから、フェイトちゃんと一緒に招待しようと思って」
「そうなのか。よしそれじゃ行こうかクロノ君」
「え、あ、はい」

ぽん、と肩を叩かれたクロノは思わず背中を押されたように椅子から立ち上がる。

「それじゃまたね、クロノ君」

桃子の明るい声に押し出されるように、クロノは士郎と翠屋を後にした。自分は知らない間に返事をしたのだろうか、と疑問に思いつつ。

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そうして現在に至る。



クロノは今、高町家の縁側で座っている。リビングに通されるかと思ったが、士郎が今日は天気がいいからと庭先に出たのだ。そうして親子ほど、年の離れている二人は並んでお茶をすすっていた。
二人の間に会話は無い。そもそもまともに対面するのは初めてなのだ。何を話せばいいのかわからない。何か聞かれればそこから会話が続けられるかもしれなかったが、士郎は何も話しかけてこない。自然と、沈黙が続くことになる。
だがそれは口を噤んでしまう様な重苦しい類の沈黙ではなかった。何はなくとも穏やかな気持ちでいられる。海を眺めているような気持ちで言葉が不要に思えるような、そんな類の沈黙だった。
残り少なくなったお茶を飲みきり、湯飲みを置く。それをきっかけになんとなくクロノは口を開いた。
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「なのはは管理局でよく頑張ってます」

口にしたのはなのはの事だった。二人の共通項と言えば彼女である。一番話題にしやすい事だった

「失敗も多いですが、それでも挫けず立ち止まらず、精一杯前に進んでいます」
「そうか」
「何か聞きたいことはありますか?出来る限りお答えしますが」
「いや、それだけ聞ければ十分だよ」

クロノは首を士郎に向ける。士郎の横顔は言葉を証明するように澄んでいた。
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「なのはの事は信じている。だから、俺は何の心配もして無いよ」

クロノは思わず口元を緩めた。なるほど、この親あってあの子ありか。なのはがあれだけ真っ直ぐな少女であることに納得が言った。

「けど、色々と迷惑はかけるかもしれないがよろしく頼むよ」
「はい」
「お茶のおかわりは?」
「頂きます」

士郎は自分とクロノの湯飲みを持って台所に向かう。数分して最初と同じようにお茶を置き、またクロノの隣に腰掛ける。
そうして、時折思い出したように会話しながら二人は日暮れまでずっと縁側でお茶を飲んでいた。





学校を終えたなのはとフェイトは、フェイトの着替えのため一旦、ハラオウン家に寄ってから高町家に向かっていた。
クロノが家にいなかった事を少し気にしながら、談笑する。取り留めの無い会話だがそれだけでも十分に楽しかった。
十数分の道のりを長く感じる事無く、高町家に着いた二人が家に上がろうとする。

「あれ?」九州神龍


庭先から会話が聞こえてきた。振り返ってフェイトを見ると彼女にも聞こえたようで答えるように頷いていた。
気になって、玄関を通らず庭に出る。普段なのはの家族はこの時間に帰っていることは少ない。いるとすると大学が休講になった恭也か早上がりの士郎ぐらいだ。偶然二人して早く帰ってくることになったのだろうか。
なのはの予想は半分辺りで半分外れだった。見慣れた庭先、見慣れた二人。しかし、初めて見る組み合わせの二人が初めて見る光景を作っていた。

「クロノ君?」

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そこにいたのはクロノだった。士郎と一緒に縁側に腰掛けていた。意外と言えば意外すぎる光景に驚いた。
なのはの声が聞こえたのだろう。お茶を飲んでいた男二人がなのはの方に振り返る。驚いた様子のなのはとフェイトの姿がクロノの目に映る。

「お帰りなのは。いらっしゃいフェイト」
「お帰り。お邪魔しているよ」

なのはが二人に小走りで駆け寄る。驚きを隠せず、詰め寄るように問う。

「クロノ君、どうしてうちに?」
「ちょっと、まあ色々あって」

クロノはここに至るまでの経緯を簡単に説明した。それを聞いたなのははなんだか複雑そうな顔をした。

「お母さんったら、強引なんだから……」
「まあまあ」
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妻を弁護するように士郎が言う。クロノを連れてきた実行犯からすると桃子が責められると自分も悪いことをした気になる。

「それじゃ、二人も帰ってきたことだし中に入ろうか。少し寒くなってきたことだしな」

そう言って士郎が立ち上がるがクロノは腰を上げなかった。皆が不思議がる。

「クロノ君?」
「もう少しここで時間を潰していいですか?」

クロノ以外の者は彼の意図が読めなかった。訝しい視線を受けながらクロノは答えた。

「ここは落ち着くので。もう少しだけ」

そう言った彼の顔はなのはとフェイトも見たことが無いほど穏やかなものだった。
結局、四人は家人が皆戻ってくるまで縁側にいた。



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先ほどまでの穏やかさが嘘のように肩身が狭かった。
急遽、夕食に参加することになったクロノを美由希は「よく来たね~」と歓迎し、恭也は「うむ」とだけ頷いた。後者の心中をクロノは図ることが出来なかった。
そうして始まった夕食会。もういつもの事と慣れた様子のフェイトと高町家面々の談笑の中、クロノは会話に入っていけない自分がひどく場違いな気がした。それは最初に庭に案内された時に感じたことでもあるが、今のほうがより顕著だった。
自然と箸の進みが遅くなっているクロノに桃子が声をかけた。
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「クロノ君、ちゃんと食べてる?」
「え、あ、はい。頂いてます」

意識の外から声をかけられて、クロノは慌てた。取り繕うように箸を勧めた。

「そう、あんまり食べてないみたいだけど。口に合わない?」
「い、いえ。ただ僕はそんなに食べるほうじゃないので……」
「駄目よ~、育ち盛りなんだから~」

翠屋で言われた事を再び言われる。しかも妹の目の前でだ。クロノは自分の頬が赤くなるのを感じた。

「そうだね。エイミィももっと食べないからクロノは大きくなれないって言ってたよ」
「フェ、フェイト?」VVK


追い打ちをかけるように、フェイトが言った。今のやりとりがおかしくてしょうがないようだった。

「……必要な分の栄養は取っている。余計なお世話だと言っておいてくれ」
「いや、クロノ君。男はもっと食べるべきだ。じゃないと大きくなれない」

なんとかした反論も今度は士郎に返される。その口調は桃子のそれと同じだった。

「それにご飯が美味しいことは幸せだ。それを小食と言うだけで逃がすのは人生において大きな損失だぞ」
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至って大真面目に言いながら士郎はあやすようにクロノの頭に手をやる。クロノはひどく驚いたが何も言えず頷いた。頭を撫でられるクロノというエイミィでも見たことがないレアな場面に遭遇しなのはとフェイトは驚きながらもその様子を笑っていた。そんな二人にクロノは憮然としながら箸を勧めた。
少し遠くにあるソースを取ろうとして手を伸ばすと、近くにいた恭也がソースを取ってクロノに差し出した。苦笑している。心中察すると言うところか。礼を言ってソースを受け取る。
最初に感じていた肩身の狭さはいつの間にか無くなっていた。


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夕食会も終わり、そろそろフェイトと帰宅しようかという時刻。クロノは庭に立って空を眺めていた。その姿をなのはが縁側から見つける。

「クロノ君?」
「なのはか」

クロノが振り向く。見慣れた彼の姿が何故かいつもと違って見えた。

「ごめんね~…、なんだかお父さんとお母さんがおもちゃにしちゃって……」
「確かに。照れくさかった」

食事中のクロノは本当に恥ずかしそうだった。それを気にして士郎と桃子は都度都度クロノをあれこれと話しかけたがなのはにして見れば失礼が無いかおっかなびっくりという感じだった。

「本当に、照れくさかった。あんな風に子ども扱いされた事なんてほとんどなかったから」

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なんでもないように言ったその言葉に、なのはは身を固めた。軽々しく聞いていい事ではないが聞かずにはいられなかった。

「リンディさんと……クロノ君のお父さんってクロノ君の事、見てれくれなかったの?」
「父さんの事はあんまり覚えていない。母さんは仕事があったし、僕も魔法の修行があったから」

クロノは三歳の時に、父親を亡くしている。五歳の時には、魔法の修行を初め、自分と同じ九歳の時に士官学校に入っている。その後の執務官になって今に至るのだが当時の話を詳しく聞いた事は無い。しかし、その間に親子の触れ合いが普通の一家と比べてずっと少なかったのは容易に想像できた。
口篭るなのはからクロノは背を向けて視線を再び空に向ける。そのまま、今日のことを思い返しながら口を開いた。
D10
「いい家だね。ここは」
「そ、そうかな?」
「ああ。温かい家族に温かい家。君がまっすぐに育った理由がよくわかったよ」
「あ、ありがとう」

家族を褒められ、なのはは照れる。そんななのはをクロノは遠くを眺めるように見た。

「クロノ君……?」
「こんな家の子供なら君は………」

躊躇う様に言葉を切る。クロノが今、どんな顔をしているのかなのははわからなかった。その僅かな間の後、クロノは振り向いて言葉を続けた。

「君は、魔法に関わらなくても、まっすぐに生きていけたかもしれないな」

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それはいつか思ったことだった。
なのはは優しく純粋だ。その才能は目を見張るものがあるが、戦いというものが似合う少女ではない。今日見たように、家族で夕食を囲んでいる姿の方がずっと似合っている。
士郎は心配していないと言っていたがそれはなのはが進もうとする道のことだ。彼女がその道を、夢を、未来を進む途中で失敗することや迷うことはあっても、間違った選択をしてその道から外れ、見ていた夢を見失うことはないと信じているのだ。そのことについてはクロノ自信も強く思っている。
だが、それはなのはの身を案じていないと言うことではない。その道の途中でどんな苦難が待っているのか、それはわかることではない。その苦難が、彼女を傷つけ、立ち上がることを出来なくするかもしれない。その未来を奪い去るものかもしれない。そんな危険を孕んだ道を、彼女は進もうとしている。
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そんな道を進まなくても、こんな温かい家と家族がいるのならば。魔法に関わるよりも、ずっと健やかで穏やかな未来を進んでいたかもしれない。それはなのは一人の幸せを考えれば、ずっと幸せなことではないだろうか。
執務官としては才ある人材が入ったことに。友人としては同じ仕事を出来ることに。なのはが管理局入りを決めた時は素直に喜んだ。それに偽りは無い。
だが、その時僅かに思い、今日膨らんだこの思いも間違いなく本心だった。

「クロノ君………」

そんな言葉を漏らしたクロノになのはは距離を感じた。縁側と庭先の短い距離が、何かに遮られたように長く感じた。
クロノの言葉は自分を案じての事だ。心配してくれることは嬉しい。だが、その言葉はなのはにとって受け入れられるものではなかった。
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なのはは庭に下りる。さきほど感じた距離は無くす様にクロノに歩み寄る。あんなものは錯覚だ。そう念じるなのはの思いを証明するようにクロノとの距離は簡単に縮まった。手を伸ばせば、届く距離に彼がいる。なのはは、手を伸ばす。両手で彼の手を取った。クロノは驚いたような顔でなのはを見た。

「なのは?」
「私は、ここにいるよ」

クロノの手を掴んだまま、両手を額に当てる。言葉が、想いが伝わるよう、祈るように。

「私は、クロノ君やフェイトちゃんやユーノ君。他の皆と同じ場所にいるよ」

魔法に関わることの無かった生活。それを考えたことが無いとは言わない。けれどそれは、ありえなかった未来なのだ。
緑の野原を駆ける。後ろを押すように風が吹いた。RU486

後ろからかけられる声にも振り向かず、飛ぶかのように走る。
本当に、どこまでも続く草原だった。小さな身体には無限とも思えるほど、長く、広くどこまでも続いていた。
けれど、その果てに行きたいとは思わなかった。だって、今いる場所が本当にいたい場所だったから。
傾斜のあるところで足を縺れされて転んだ。全力で走っていたから結構な勢いで、草の絨毯に身を投げ出した。ぶつけた所は痛かったが、泣くのは我慢した。中絶薬

少しだけ痛みが引くと、生い茂る草むらが身を包むようで気持ちよかった。
そこに歩み寄ってくる人がいた。近くに来ると抱き上げてくれた。泣いていないのを見ると、偉いぞと笑ってくれた。笑い返すとその人の側に寄り添っている人も笑った。
ここが続くなら、草原の果てにも行って見たいと思う。
この人達と笑い合える、この場所こそが本当にいたい場所だった。





その、遠い光景は、いつのことだったか─────────────────


曲美



天気の良い日だった。暖かな日差しがマンションの窓から差し込んでいる。その日差しは時間が経つにつれ、室内を照らす面積を伸ばしていった。
そうして、日差しがソファーにまで達した時、その眩しさにクロノは目を覚ました。目を開けた以外、起きたと思わせる動きの無いまま意識を覚醒させる。自分が寝ていて起きた、という認識をするまでそう長い時間はいらなかった。

「眠っていたか」

緩慢な動きで、首だけを動かし時計を見る。時刻は昼前と言ったところだった。最後に時計を確認したのが九時くらいだったから眠っていたのは二~三時間というところか。

「にしても居眠りか」

睡眠時間は十分とは言わないが必要最低限以上は取っている。それ以上眠るくらいならデバイスの整備なり勉強なりすればいい。そう思っていたというのにどうした事か。

「まあ、たまにはいいだろう」韓国痩身


身体を起こして、確認するようにリビングを見渡す。クロノ以外誰一人いない。まあ、わかりきったことだ。今日のこの時間、家に自分以外誰もいないのは聞いていたことだし、実際に彼は出かける家族を見送っていた。
今日は休日だ。家長であるリンディは本局で会議に出席している。フェイトも休日だが、シグナムとの訓練のため、本局に出向いている。アルフはいつも通り散歩だ。今更だが、彼女はいつも何をしているのだろう?大量の骨を持って帰ってきたり、切り傷だらけになってきたりとどんな事をしてきているのか全く想像出来ない。

「さて」K-Y

昼飯時に起きたのは丁度良かった。これからの予定が立てやすい。まずは自宅で作るか外に出るかを決めることにする。以前、食材を適当に使って料理番たちに怒られたので、使っていい食材は予め休日前に聞いておくようにした。冷蔵庫を見ると冷凍にした麺が残っていた。せっかくうどんでも作るか。七味唐辛子を大量投下したきつねうどんとか。他意はない。
家で作った時の選択を決めるとクロノは見比べるように外に目をやった。見ているだけで温かくなるような陽気だ。差し込む日差しが外に誘うように室内を照らす。室内にいるのがもったいないと思わされる。
クロノはうどんを取る事無く冷蔵庫を閉めた。自宅と外の二択はあっさりと後者に決まったのだった。クロノは居眠りの間に立った寝癖を直すと、簡単に身支度をして家を後にした。
向かう行き先は先の二択より簡単に決まっていた。絶對高潮





昼のピークで翠屋は人で溢れており、クロノは数十分待ってようやく店内に入ることが出来た。どの席も人で埋まっているが、店の雰囲気と店員の手腕の高さによるものだろう、それほどざわついてはいなかった。
アルバイトの店員に案内され、カウンター席に着く。レジにオーダーにとカウンターで切り盛りしている桃子と目があう。声をかけられる前に無言で手を上げる。自分のことはいいから仕事を続けてくださいと、動作と目で訴える。桃子はごめんねー、という顔で笑うと店員にあれこれと指示を出す。店員と共に指示を受けた夫の士郎も忙しそうに動く。その様子をクロノはお冷や片手に眺めていた。絶對高潮催淫
店内が落ち着いてから、クロノは注文を頼む。スパゲッティーとサラダのセットを大盛り、と桃子に伝える。任せて~、と桃子は軽く力こぶを作って見せてから厨房に入っていった。
高町夫婦に指摘されてからクロノは以前よりも食事の量を増やした。初めてアースラの食堂でおかわりを注文した時、同席していたリンディとエイミィはひどく驚いていた。その驚きは何故かアースラ全体に伝わってちょっとした騒ぎになり、クロノは頭を抱えた。事情を知るフェイトだけはこの事態を笑っていた。なお、これ以降彼の身長はぐんぐんと伸びることになるが、関係者各位は皆食事の量を増やしたからだと述べている。これにより、士官学校では『でかくなりたいなら食え』という教えが一部で広がることになるがそれは数年後の話である。
十数分ほど待って、桃子が厨房から戻ってくる。食欲をそそる香りと、彩り見事なカルボナーラとシーフードサラダが置かれる。いただきます、と言ってからフォークを手に取る。その様子を見ながら桃子は微笑む。その様子は子供の成長を見守るそれであった。天天素




一度、訪れたのをきっかけにクロノはよく翠屋を利用するようになっていた。デバイスの整備にしろ、提督試験の勉強にしろ、欠かさないに越した事はないのだが休日の度、時間を潰すためにそれらを行うクロノは度が過ぎていた。しかし、翠屋に来てからは休日の意義の一つをようやく見つけることが出来たようだ。

「それで、なのはもフェイトちゃんも慌てちゃってねー」

人当たりのいい桃子との会話は楽しかった。桃子は普段クロノが知ることの出来ない妹とその友人達の事をよく話してくれた。今、話していたのはフェイトがなのはの家でお菓子作りに挑戦した時の失敗談だ。普段、なんでも器用にこなす義妹だが、時々おっちょこちょいなのは相変わらずなようだった。

「そういえば、なのはは今日どうしているんです?」
VigRX


今日の休日はなのはの世界でも休日だった。なのでフェイトは朝から思う存分シグナムと訓練を行っている。おそらくヘトヘトになって帰ってくることだろう。
フェイトという友人がいないので、他の友人と遊びに出ているのだろうか。それとも家でゆっくりしているのだろうか。もしかしたらフェイトに付き合って本局に出向いている可能性もある。

「お昼食べたら、出かけるって言ってたわ。多分桜台じゃないかしら」

クロノの予想は全て外れていた。そのため出てきた地名が気になった。

「桜台?」
「うん。商店街からでも見える山があるでしょ?よくあそこに行くのよ」

地名と、頭に入れた地形が合致する。そうして、その場所がなのはが魔法訓練を行っている場所だと思い出す。
休日でも訓練か。感心なものだ。そう思うクロノだが彼自身休日でもよくトレーニングをしている。自身を勘定に入れることが少ないクロノだが、それが回りを心配させている事を彼は気づいていない。
食後のコーヒーを飲み終える。時間もそれなりに経ったのでクロノは席を立つことにした。

「ご馳走様でした」Vivid

「また来てね~」

レジを担当していた士郎に勘定を支払い、桃子の声を背に受けながらクロノは翠屋を出る。午後の陽気は過ごしやすい程度に気温を上げていた。
これからの予定を考える。これ以上は特に用事が無いので家に帰るのが妥当だと思う。なんだかんだで翠屋くらいしか一人で時間を潰せる場所を知らないクロノだった。
自宅のほうへ足を向けようとして、クロノは振り返る。その方向には桃子が言っていた通り、商店街からでも見える山があった。
先ほど頭の中に浮かべた地図を呼び起こす。行った事は無いが、どのような場所だかは想像がついた。

「………」

翠屋に振り返ると、士郎と桃子が仲睦まじく話しているのが見えた。ふらりと自宅のほうに向けていた足を反対に向ける。家に戻っても誰もいないし、やる事も少ない。思い浮かべた光景があっているのか確かめてもいいだろう。クロノは急ぐ事無くゆっくりと歩きだした。花痴






桜台の登山道。町を一望できるその場所でなのはは魔法訓練を行っていた。片手を上げて精神を集中する。そのはるか頭上では桃色の魔力弾が軌跡を残しながら、空き缶を撃ち上げ続けていた。

(138……139……140………)

今回のノルマは150回。達成まで残り10を切ろうとしているがなのはは全く気を緩めず、魔力弾の操作に没頭する。

(147……148……149……)

魔力弾が空き缶を撃ちつける。なのはは目を開いて最後の操作を送る。
Motivat

「150!」

先ほどまで一定の軌跡を描いていた魔力弾が角度を変えて、空き缶を撃つ。空き缶は放物線を描きながら落下していく。その先には空き缶用のゴミ箱がある。
落ちていく空き缶を目で追うなのは。空き缶は彼女の思い描いていた軌跡と若干のズレを生じていた。カァンと高い音を響かせてゴミ箱の縁に当たる。失敗したかと息を呑む。
縁に当たった空き缶はくるくると回転しながら落下する。なのはにはその様子が随分とスローに見えた。落下していく空き缶は再びゴミ箱の縁に当たってその内に落ちていった。
なのはは大きく息をついた。精神集中とギリギリの結果のためだ。

『今日の所は90点です』
「う~ん……、あともうちょっとだったんだけどなぁ……」

予定ではこれで今日の訓練は終わりの予定だったが、結果に少々納得がいかない。もう少し続けようかと思うなのはだったがそこに思わぬ声が飛んできた。

「やっぱり、君か」
「クロノ君?」
WENICK

振り向くとクロノの姿があった。この時間にこっちの世界にいるということは休日なのだろう。だが、彼がここに来る理由は全く検討がつかなかった。

「クロノ君、どうしてここに?」
「桃子さんにここの事を聞いてね。君が訓練している場所だったから気になって見に来ただけだよ。」

回りくどい言い回しだが要は散歩である。クロノという人物のイメージに合わず、なのはは意外そうな顔をした。

「昼くらいから訓練していたのだろう?かなり時間が経っているから入れ違いになるかと思ったが、感心なものだ」

クロノは辺りを見回しながらなのはの周囲を回るように歩く。なのははクロノを追うように身体の向きを変える。

「毎朝これくらいやってるからそうでもないよ」男宝
「そうか。しかし、苦手でも結界は張ったほうがいいな。下から魔力弾が丸見えだったぞ」

なのはが固まる。早朝に桜台にやってくる人はそうそういないので気にしていなかったが今は昼過ぎである。人は来ないとは言い切れない時間であり、現にクロノという訪れるとは思えない人物がやってきたのだ。迂闊と言えば迂闊だった。
そんななのはの様子を気にした様子も無く、海鳴市を一望できる場所で足を止めたクロノは落胆したように呟いた。その表情は開けた宝箱が空だったかのようだ。

「思ったより、人の手が入っているんだな」

クロノの言葉になのはは周りを見る。登山道に備えられたベンチに街灯にゴミ箱と確かに人工物が存在している。今いるこの場所も人が歩きやすいよう、ある程度整備されている。しかし、クロノが言うほど人の手というものをなのはは感じることが出来なかった。疑問のような戸惑いから声をかける。

「クロノ君、ここが気に入らないの?」
「いや、そうわけじゃないんだ。気にしないでくれ。邪魔をした」

なのはの横を通り過ぎる。帰るつもりのようだ。結局、クロノが何を思ってここに来たかわからないままである。

「クロノ君」 Cialis


思わず呼び止める。自信の無い顔のまま、振り向いたクロノの提案をした。

「本当は入っちゃいけない所なんだけど、この先にもっと人の手が入ってないところがあるよ」

クロノが意外そうな顔をする。興味があるようだ。彼が思っているものの答えになるかわからないまま、なのはは言葉を続けた。

「時間があるなら、行ってみる?」

クロノは考えるそぶりを少しだけして頷いた。




そこを見つけたのはジュエルシード捜索のため、あちこちを飛び回っていたときだった。それ以来、来たことはなかったが綺麗な場所なので覚えていた。
海鳴市とは反対に面した、山の中の草原だった。森を抜けたその場所にはなだらかな緑の丘が続いていた。
その草原を見ながら、立ち尽くすようにしているクロノに戸惑いながらなのはは声をかけた。

「どうかな?」
「いい場所だ」美人豹


返事はすぐに返ってきた。クロノが何を思っているか未だわからないなのはその返答に詰まった。いい場所と言うが、それがいい事なのか悪い事なのかすらわからなかった。
何も言わず、クロノは歩き出した。きょとんと呆けている間に、置いて行かれた形になったなのはは慌ててクロノの背を追った。
クロノは噛み締めるようにゆっくりと歩く。足を止めたのは、日当たりのいい平らな場所だった。クロノは無造作に草むらに腰を下ろした。
追いつき、クロノの横に立ったなのはは、クロノとクロノの視線の先を見比べる。そのさきは丘が続くのみだ。遠く僅かにどこかの町並みが見えるがクロノがそれを見ているとは思わなかった。
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「クロノ君?」
「君も座ったらどうだ?」

言われるままに、腰を下ろす。柔らかな草の感触が伝わった。
クロノと同じ方向に視線をやる。けれど同じものを見ているというのに彼が何を見ているのか、わからなかった。
わからないので、思うままに疑問を彼に尋ねる事にした。

「ここで何かするの?」
「何も。別に何かするためにこういう場所を探しに来たわけじゃない」
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答えはさらに疑問を深めた。なのはは何を聞けばいいのかすらわからなくなった。困って窺うように横目でクロノを見る。

「海鳴は自然が多いけど、本当にこんな場所があるとは思わなかった」

唐突にクロノは呟いた。話しかけるというより、語りを聞かせるような口調だった。

「故郷に似ているんだ。この場所は」

なのはは驚いてクロノの顔を覗き込む。先ほどから変わっていないクロノの表情が何かを懐かしむような顔なのだとようやく気づいた。気が付かなかったのはそれが今まで見た事の無い表情だったからだ。

「ミッドチルダって自然が多いの?」
「ああ。世界の広さの割に人口が少なくてね。だから人の手が入っていない所が多いんだ」
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クロノが顔を上げる。日差しと昔の思い出に馳せるために目を閉じた。

「父さんも母さんも忙しい人だったけど、休日が揃うとよくこんな場所にピクニックに連れてきてくれた」

それは数少ない、しかしはっきりと覚えている大切な思い出だった。

「僕は、危ないと言う母さんの言葉を聞かずに走り回ってよく転んだ。そうすると父さんが抱き上げてくれると知っていたから」
「クロノ君………」

なのはが悲しそうにクロノの名を呼んだ。今の話とクロノが結びつかなかった。

「あんなに穏やかで幸せだったのに、ずっと思い出すことがなかった」
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だが思う。実直で真面目で、周りにも、それ以上に自分に厳しくいつも引き締まった顔をするクロノよりも、今の柔らかく穏やかな顔をしているクロノの方が本来の彼なのではないかと。

「なのに、なんでだろうな。急に思い出した」

ゴロンと身体を倒す。全身に感じる草の感触と匂いが心地よかった。

「こんな風に、草の上で横になるなんて本当にあの時以来だ。あの時からこんな風に過ごしたことはない」

なのははクロノの今までの人生を思い出す。幼い頃から詰め込んだようなその道のりの苦笑する。
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「クロノ君、いっつも忙しそうだもんね~。もうちょっとゆっくりしてもいいと思うよ」

その言葉に、クロノは意表を突かれたように数度瞬きをした。それから少し口元を緩めて、目を閉じた、

「ああ、そうだな………。少し、急ぎすぎたの……かも………」
「クロノ君?」 procomil spray


クロノの顔を覗き込む。くぅくぅと寝息を立てて熟睡している。クロノが昼寝など彼を知る者には想像もしないだろう。しかし、今のなのはそれがおかしいことだとは思わなかった。
あどけない寝顔のクロノに微笑むと、顔を上げる。腰を下ろしている草原がベトなら、草原を照らす柔らかな日差しは薄いながらも温かい布団のようだった。草と陽の匂いを感じながら目を閉じる。少しずつ身体が揺れてきた。
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「あ~……、クロノ君の気持ち、わかるなぁ………」

なんだか、ひどく、眠くなって、きた。
なのははその感覚に逆らう事無く、身を委ねた。



意識が一気に回復した。
そうかー、腹かー。僕はアットホームな家庭の大型犬かー。でも僕は大型ってイメージじゃないぞー。自分で言っていて悲しいぞー。どうせ枕にするならザフィーラにでも頼んだほうがいいぞー。多分、はやてに言えばザフィーラの腹くらい貸してくれるさー。むしろ一緒になって枕にするんじゃないかなー。うん、絶対するなー。それがいい。そうしよう。そうしてくれ。そしてこの状況どうしよう。
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現実逃避を試みた思考はダラダラと流れる冷や汗に引き戻される。
まずい。どうしよう。なんでよりにもよって腹なんだ。脱出不能じゃないか。これが腕だったらなんとか抜け出せたものを。あ、でも腕だったら密着具合がさらにひどくなるな。顔なんか凄い近いぞきっと。どこもよくない。むしろまずい。どうしよう。なんでよりにもよって腹(以下略)。
現実と逃避のスパイラルに突入するクロノ。だと言うのに腹から伝わるなのはの体温だけはひどくリアルに伝わった。

「ん………」

なのはが身じろぐ。その動きにクロノの身体が固まる。それが伝わったのか、なのははあっさり目を覚ました。ばっちり目が合う。

「………」
「………」

パチパチと瞬きして事態がわかっていないなのは。顔を紅くして冷や汗を流すクロノ。そのクロノと自分の身体の下にあるクロノの腹を見てようやく事態を理解する。

「にゃ、にゃあああ!?」

大慌てで、クロノから飛びのく。バタバタと手を振って慌てるなのはに煽られるようにクロノも慌てる。

「ク、クロノ君!ご、ごめんなさい!あんな!変な!失礼な!」levitra

「い!いや!気にすることはないぞ!うん!なんでもないぞ!」

そんな二人を、丘から吹き上げた強い風が薙いだ。二人とも思わず、腕を上げて顔を覆った。風はすぐに止んだ。なんだか鼻を鳴らして呆れているような風だった。
お互い、相手の方から視線を逸らす。なんだか慌てる雰囲気ではなくなったが気恥ずかしさと気まずさはなくならない。クロノは頬を掻きながら呟いた。

「……帰るか」
「……そうだね」

先ほどの事には触れない。二人の間でなかった事になったようだ。立ち上がったクロノはなのはと並んで草原を後にした。
彼らが去った後、もう一度さっきのような風が吹いた。

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Posted by xiangxiang521 at 2008年09月08日17:26
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